このブログはキッチンカーを始めたい方、キッチンカー(移動販売)を始めたけどなかなか売上が伸び悩んでいる方に、実際に今もキッチンカーをやっていて実績があるオーナーが有益な情報を発信していくブログです。
キッチンカーの車両を手に入れて、いよいよ開業が見えてきた。でも「営業許可ってどこで、どうやって取るの?」「保健所って何を持っていけばいいの?」と、ここで手が止まってしまう方はとても多いです。役所の手続きって、それだけで身構えてしまいますよね。
先に結論からお伝えします。キッチンカーの営業許可は、出店する予定の地域を管轄する保健所に申請して取得します。流れは大きく分けて「事前相談 → 食品衛生責任者の資格取得 → 書類の準備 → 車両を持ち込んでの実車検査 → 許可証の交付」の5ステップ。1つずつ順番に進めれば、初めてでも必ず取得できます。
この記事では、キッチンカー歴8年・たこ焼き屋歴12年の僕(飛笑朗)が、実際に東海3県で複数の営業許可を取ってきた経験をもとに、保健所申請の流れ・必要書類・検査でチェックされるポイント・取得までの日数を初心者向けにまとめて解説します。僕自身の「不備で許可が下りず、そのまま帰ってきた」失敗談も包み隠さず書きますので、同じ遠回りをしないための参考にしてください。
① 商材選びの大切さ
② キッチンカーを購入する際の注意点
③ 営業許可書の取り方
④ 販売商品の値段の決め方
⑤ 店舗外観の重要性
キッチンカーの営業許可とは?車両を買ったら最初にやること

前回の記事(キッチンカーを購入する際の注意点)で車両の準備ができたら、次はお店作りです。営業できるように営業の許可書を取得する手続きをしましょう。
キッチンカーは「車があれば今日から売れる」わけではありません。食品を調理して販売する以上、食品衛生法にもとづく営業許可が必要です。許可を取らずに営業すると法律違反になり、罰則の対象になるだけでなく、イベント主催者や出店場所からの信用も一発で失います。開業準備の中でもいちばん最初に、いちばん丁寧に取り組むべき手続きです。
営業許可は地域(保健所の管轄)ごとに必要
飲食店の営業許可は地域によって違います。自分が出店する予定の地域の保健所に行き、「キッチンカーで飲食店の営業許可を取りたい」と伝えれば、必要なものを丁寧に教えてくれます。保健所は「怖い場所」ではなく、むしろ開業希望者にとっては無料で相談できる心強い窓口です。
ここで初心者がつまずきやすいのが、「営業許可は日本全国で1枚あればいい」と思ってしまうこと。実際には、保健所の管轄ごとに別々の許可が必要です。管轄は都道府県単位だけでなく、政令指定都市や中核市などは市が独自の保健所を持っていることもあります。
ちなみにぴえろは東海3県を中心に営業していますので、愛知県、岐阜県、岐阜市、三重県それぞれの営業許可書を取っています。(※2021年6月からは岐阜県と岐阜市の営業許可証が統一されました)
つまり「岐阜県の許可を持っているから愛知県でも売れる」とはならない、ということです。出店したいエリアが複数の管轄にまたがる場合は、その数だけ申請が必要になります。
2021年の食品衛生法改正で変わったこと
2021年6月に食品衛生法の改正が全面施行され、営業許可の制度が全国的に見直されました。キッチンカーに関係するポイントは主に3つです。
1つ目は、許可区分の整理。以前は商材によって「飲食店営業」と「菓子製造業」など別々の許可が必要になるケースが多くありましたが、改正後はキッチンカーのような移動営業は飲食店営業許可に一本化される地域が増えました。
2つ目は、給水タンクの容量によって提供できるメニューの範囲が決まる仕組みが広がったこと(詳しくは後述します)。
3つ目は、タンク容量など一定の条件を満たせば、車内での仕込みまで認められるケースが出てきたことです。
ただし、改正後も細かい運用は自治体によって差があります。制度の説明はあくまで一般論として読み、必ず自分が申請する管轄の保健所に確認してください。営業許可の制度そのものをもっと詳しく知りたい方は、キッチンカーの営業許可の詳細解説記事もあわせてどうぞ。
営業許可を取る前にそろえる3つのもの
営業許可書を取得するためには、食品衛生責任者の資格と仕込み場所、各種申請に必要な書類が必要です。
申請そのものの前に、この3つを準備しておくと手続きがスムーズです。1つずつ見ていきましょう。
①食品衛生責任者の資格(講習1日で取れる)
飲食店営業許可書を取得するには食品衛生責任者が必要です。栄養士や調理師などの資格を持っている方は、講習を受けなくてもそのまま食品衛生責任者になれます。
もし資格を持っていない場合でも、各都道府県の食品衛生協会などが開催する養成講習会を1日受講することで取得できます。受講料は自治体によって異なりますが、おおむね1万円前後が目安です。最近はeラーニング(オンライン受講)に対応している地域も増えているので、日程が合わない方は管轄の食品衛生協会のサイトを確認してみてください。
講習会は地域によっては数週間〜数か月先まで埋まっていることもあります。営業許可の申請時に資格が必要になるので、開業を決めたらまず講習の予約を取ってしまうのがおすすめです。
②仕込み場所の確保(自宅は基本NG)
仕込み場とは、キッチンカーで販売する商材を仕込む場所のことです。生地を作る、食材をカットする、下味をつける——こうした下ごしらえを行う場所ですね。
基本的に自宅では許可が下りません。家庭のキッチンは営業用の衛生基準を満たさないためです。自分で仕込み場を借りて許可施設をつくるか、知り合いの飲食店で営業時間外に仕込みをさせてもらうようにしてください。最近はキッチンカー向けのシェアキッチン(時間貸しの営業許可付き厨房)も増えており、固定費を抑えたい開業初期の選択肢になります。
なお、2021年の法改正以降は、給水タンクの容量など条件を満たせば車内での仕込みまで認められ、仕込み場所が不要になるケースもあります。メニューがシンプルな方は、仕込み場所を借りる前に「このメニューなら仕込み場所は必要ですか?」と保健所に聞いてみると、余計な出費を防げるかもしれません。ここも自治体によって判断が異なるため、必ず管轄の保健所に確認してください。
③商材によって許可の種類が違う(飲食店営業と菓子製造業)

キッチンカーの商材によって取得する許可書が違います。基本的には飲食店営業許可書で良いですが、クレープやポテト、たい焼きなどを販売する場合は菓子製造業の営業許可書が必要とされてきました。この2つは全く別の許可書です。
ポテトは申請する地域によって飲食店営業と菓子製造業許可書どちらに入るか違いますので必ず確認してください。
2021年の法改正以降は、キッチンカーでの提供は飲食店営業許可に一本化される地域が増えていますが、商材の分類は今でも自治体ごとに判断が分かれます。必ず申請する前に、保健所で「販売したい商材」を伝えて確認してから申請してください。申請後に「その商材はこの許可では売れません」となると、時間も手数料も無駄になってしまいます。
保健所への申請に必要な書類

準備が整ったら、いよいよ保健所への申請です。一般的に必要になる書類は次のとおりです。
・営業許可申請書
・食品衛生責任者の資格証明書
・キッチンカー車内の見取り図
・仕込み場の営業許可書の写し
・キッチンカーの車検証のコピー
・申請手数料
申請手数料は自治体によって異なりますが、飲食店営業でおおむね1万5,000円〜2万円前後が目安です。複数の管轄で許可を取る場合は、その数だけ手数料がかかる点も資金計画に入れておきましょう。金額は必ず管轄の保健所で確認してください。
書類でつまずきやすいポイント
この中で初心者がいちばんつまずきやすいのが、仕込み場の営業許可書の写しです。前の章で書いたとおり自宅は仕込み場にできないので、「仕込み場所をどこにするか」が決まっていないと、この書類が用意できず申請が止まります。書類集めの前に仕込み場所を確定させておきましょう。
また、車内の見取り図は手書きでも構いませんが、シンクや給水・排水タンク、冷蔵設備の位置と大きさがわかるように書く必要があります。事前相談のときに書き方の見本をもらえることが多いので、遠慮せず聞いてみてください。
書類の名称や様式は管轄によって微妙に違います。岐阜市の保健所で申請する予定の方は、岐阜市保健所の必要書類まとめ記事で実物ベースの一覧を紹介しているので、あわせて参考にしてください。
保健所の実車検査でチェックされるポイント
書類がそろったら、実際にキッチンカーを保健所まで持っていき、保健所の職員と一緒にその場で設備をチェックします。ここがキッチンカーの営業許可のいちばんの山場です。主に見られるのは次のような項目です。
・換気はしっかりできるか
・照明は暗すぎないか
・搭載する水のタンクの容量
・冷蔵設備があるか
・収納ケースはあるか
・運転席と調理場は区切られているか
・シンクの数と大きさ
・手洗い石鹸と消毒を置いているか
細かな基準は管轄によって違うため、必ず事前に申請予定の保健所へ電話をして必要項目を確認しましょう。
「運転席と調理場の区切り」や「シンクの数」は、車両の改造段階で決まってしまう項目です。だからこそ、車両を作る(買う)前に保健所へ事前相談しておくことが大切なんですね。すでに車両がある方も、検査当日までにチェックリストを片手に一つずつ潰していきましょう。
給水タンクの容量で提供できるメニューが変わる
2021年の法改正以降、多くの自治体で「給水タンクの容量に応じて、できる営業の範囲が決まる」という考え方が採用されています。一般的な目安は次の3段階です。
・約40L:提供メニューは1品目程度、簡易な調理のみ(使い捨て食器が前提)
・約80L:複数品目の提供が可能に
・約200L:通常の調理全般、車内での仕込みまで認められることも
つまり「大は小を兼ねる」で、タンク容量が大きいほど売れるメニューの幅が広がります。ただし区分の詳細や必要容量は自治体によって異なるため、自分のメニューに必要な容量を必ず管轄の保健所に確認したうえでタンクを用意してください。あとから「タンクが小さくてこのメニューは出せません」となるのが、いちばんもったいないパターンです。
【体験談】不備があり、許可が下りずそのまま帰ってきました
ぴえろの体験談ですが、許可申請のために1時間以上キッチンカーを運転して、他県の保健所まで営業許可を申請しに行ったことがあります。
事前にしっかりと確認をしたつもりでしたが、不備があり、許可が下りずそのまま帰ってきたことがあります。片道1時間以上かけて行って、検査は通らず、またあらためて出直し。後日、無事に営業許可書を取得できましたが、かなり時間の無駄になってしまいました。
敗因は「前に取った地域と同じ基準だろう」という思い込みでした。管轄が変われば基準も変わります。すでにどこかで許可を持っている方ほど、新しい管轄に申請するときは「初めてのつもり」で電話確認することをおすすめします。僕のように往復2時間を無駄にしないでください。
申請から許可取得までの日数と更新手続き
取得までの日数の目安
申請書を出してから許可証が交付されるまでは、検査がスムーズに通ればおおむね2週間前後〜1か月程度が一般的な目安です。ただし、事前相談から数えると「食品衛生責任者の講習待ち」「仕込み場所探し」「車両設備の手直し」で数か月かかることも珍しくありません。
「イベント出店の予定が先に決まっているのに、許可が間に合わない」というのは本当によくある失敗です。出店したい時期から逆算して、最低でも1〜2か月、余裕を持つなら3か月前には保健所への事前相談を始めましょう。所要日数は混雑状況や自治体によって変わるため、これも管轄の保健所に確認してください。
営業許可には有効期限がある(更新を忘れずに)
営業許可は一度取ったら一生ものではなく、有効期限(一般的に5〜8年程度)があります。期限が近づいたら更新の申請が必要で、更新時にも手数料と施設の確認があります。期限は許可証に書かれているので、取得したらスマホのカレンダーに更新時期を登録しておくと安心です。有効期間の長さは施設の状況や自治体によって異なるため、こちらも管轄の保健所で確認してください。
複数の地域で営業したい場合
ここまで読んで「東海3県ぜんぶの許可を最初に取ったほうがいいの?」と思った方もいるかもしれません。僕のおすすめは、まずは自分の住んでいる街(管轄)の営業許可を取得して、慣れてきたら近隣地域の営業許可を取得するというステップです。
1回申請を経験すると、書類の書き方も検査の雰囲気もわかるので、2件目からは驚くほどスムーズになります。管轄ごとに手数料もかかりますから、出店予定が具体的になってから順番に増やしていけば十分です。
まとめ|営業許可が取れたら、次は「値段の決め方」へ
キッチンカーを開業するために一番重要なのが営業許可書の申請です。この許可書がなければ、そもそも営業ができません。最後に、この記事の要点をまとめます。
・準備するのは食品衛生責任者の資格・仕込み場所・申請書類の3つ
・検査は車両を保健所に持ち込んで実施。不備が1つでもあると許可は下りないので、事前の電話確認が最大の時短
制度の細かい部分は自治体ごとに本当に違います。この記事は一般論+僕の体験談としてお読みいただき、最終確認は必ず管轄の保健所で行ってください。
また、営業許可と同じタイミングで考えておきたいのが、食中毒や事故に備えるPL保険(生産物賠償責任保険)です。許可が「営業するための資格」なら、保険は「営業を続けるためのお守り」。開業前にセットで検討しておきましょう。
キッチンカーの営業許可書を取得したら、次は「販売商品の値段の決め方」です。続きはキッチンカーの始め方④ 販売商品の値段の決め方へどうぞ。開業までの全体像をおさらいしたい方は、キッチンカーの始め方 完全ガイド(まとめページ)から各ステップの記事を読めます。
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