キッチンカー開業

キッチンカーの値段設定|原価率から利益を出す価格の決め方【実例あり】

更新 2026.07.28

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「キッチンカーの商品って、いくらで売ればいいんだろう…」

開業準備が進んで、いざメニューの値段を決める段階になると、ほとんどの人がここで手が止まります。安くしないと売れない気がする。でも高くしないと利益が残らない。僕もたこ焼き屋を始めた頃は、まわりの相場と自分の原価のあいだで悩みました。

先に結論をお伝えすると、値段設定に迷ったら「高め」につけるのが正解です。そして値段は感覚で決めるのではなく、原価率から逆算して「利益が残る価格」を決めることが大切です。

この記事では、たこ焼き屋歴12年・キッチンカー歴8年の僕が、キッチンカーの値段設定の相場、原価率と利益の計算式、売れる値付けの心理テクニック、値上げの伝え方までまとめて解説します。

この記事は「キッチンカーの始め方」シリーズのステップ④です。前回の営業許可書の取り方がまだの方は、先にそちらを読んでおくと開業までの流れがつながります。

キッチンカーの値段設定の基本|迷ったら「高め」が正解

出店に向けて販売する商品の値段を決めましょう。出店する場所にもよりますが、基本的には金額を固定するのが一般的です。キッチンカーはイベントや人が集まる所に出店することが多いので、販売金額も比較的高めに設定されています

値段設定を高めにしたほうがいい理由

最初は「売れるかな…」と不安になり、値段を低めに設定しがちです。ですが、値段設定に迷ったら必ず高めの値段をつけておきましょう。

値段設定が高い商品の値段を下げるのは簡単ですが、低い値段設定の場合、後から金額を上げるのはなかなか難しいです。迷ったら高めにつけて、様子を見ながら調整するのが鉄則です。

一度「あのお店は400円」と覚えられてしまうと、そこから500円に上げるのはお客さんの心理的な抵抗が大きく、簡単ではありません。逆に、高めにつけておいて後からセット割引やトッピングサービスで実質的にお得にするのは、いつでもできます。

スタート時点の値段は、その後のお店の「基準」になります。最初の値付けこそ慎重に、強気に決めてください。

売れないキッチンカーがやりがちな失敗|安売り

売れないキッチンカーが通常よりも値段を低く設定して商品を販売し、一時的に少し売り上げが上がることもあります。ですが、金額を下げたことで売れても意味がありません。

一時的にお得感で売れているだけで、金額を下げて購入したお客さんは次も金額を下げないと買ってくれません。さらに、値段設定が低いと売り上げが上がっても利益が残らないので本末転倒です。

また、全部のイベントではありませんが、「●●円以下の商品販売は禁止」という条件のイベントもあります。販売値段が低すぎると商品の品質も悪くなりますし、参加しているイベント全体の質も下げてしまいます。

「安くしているのに売れない」と感じている方は、原因は値段以外にあることがほとんどです。売上が伸びない時のチェックリストで、値段の前に見直すべきポイントを確認してみてください。

値下げではなく商品のクオリティーで勝負する

キッチンカーを長く続けていくためには、値段を下げて勝負するよりも商品のクオリティーを上げることに力を入れましょう。商品のクオリティーを上げれば、値段が高くても売れます。

商品の味やサービスでお店のブランド力を上げていくのが、キッチンカーを成功させ長く続けられる一番の秘訣です。「高いけど、ここのは美味しいから買う」と言ってもらえるようになれば、値段競争から抜け出せます。

キッチンカーの値段設定の相場は?

実際のキッチンカーの相場を見てみましょう。値段設定は、たこ焼きや唐揚げで最低でも 500円以上、ホットドッグやハンバーガー、ステーキなどでは 1,000円超 の商品もキッチンカーでは珍しくありません。

「たこ焼き500円」と聞くと少し高く感じるかもしれませんが、キッチンカー店主のこだわりの1品をその場で調理し、できたてを食べられるのがキッチンカーの価値です。味に自信のあるキッチンカーが多いので、食べれば納得のいく金額設定だとわかってもらえます。

スーパーの惣菜や冷凍食品と価格を比べる必要はありません。お客さんはイベントの非日常感や、目の前で焼き上がる臨場感も含めて買ってくれています。

相場の調べ方|同じ商材のキッチンカーを見に行く

自分の商材の相場を知るには、実際に出店予定エリアのイベントへお客さんとして行ってみるのが一番です。同じ商材のキッチンカーがいくらで、どのくらいの量を、どんな容器で出しているのかをメモしておきましょう。価格だけでなく「その値段でお客さんが並んでいるか」まで見ておくと参考になります。

遠くて見に行けない場合は、InstagramなどのSNSで同じ商材のキッチンカーを検索すれば、メニュー表の写真から価格帯はだいたいつかめます。まとめでも触れますが、値段設定に悩んだら同じ商材のキッチンカーの相場に合わせるのが無難です。やっていくうちに、自分のお店の適正な値段設定がわかってくるようになります。

出店料が高い場所では販売価格を上げることもある

大きなイベントや出店料が高額な出店場所の場合、その日だけ商品の販売金額を上げることもあります。出店料が1日10万円を超える出店場所もあり、商品の販売金額を上げないと赤字になる可能性があるからです。

出店料は場所によって「売上の15%」のような歩率制だったり、固定額だったりとさまざまです。出店を申し込む前に、その出店料を払っても利益が残る価格・販売数なのかを必ず計算しましょう。

イベントと平日ランチで値段を変える考え方

キッチンカーは出店場所によって客層がまったく違います。一般的には、次のように価格帯の考え方を変えるとうまくいきやすいです。

  • お祭り・フェスなどのイベント:非日常にお金を使いに来ているお客さんが多く、高めの価格でも売れやすい。トッピング全部のせなどの「ごちそう仕様」が出やすい
  • オフィス街や住宅地の平日ランチ:毎日のお昼ごはんなので価格に敏感。ワンコイン〜700円程度を意識しつつ、回転の速さと提供スピードで勝負

ただし、同じ商品の値段を出店場所ごとにコロコロ変えると、常連のお客さんが混乱してしまいます。基本の価格は固定したうえで、イベント限定メニューや量・トッピングの構成で客単価を調整するのがおすすめです。

原価率から考える価格の決め方

ここからが本題です。値段は「なんとなく相場に合わせる」だけでなく、原価率から逆算して利益が残るかを必ず確認しましょう。

キッチンカーの利益の計算式

キッチンカーの利益は、次の式で計算できます。

  • 商品代 − 原価 = 粗利益
  • 粗利益 − 出店料 − 人件費 − 交通費 = 純利益

店舗営業の場合はある程度経費が計算しやすいですが、キッチンカーは出店する場所によって出店料が全然違います

また、交通費も近場ならほとんどかかりませんが、出店場所が遠方の場合はガソリン代と高速代が別途必要になります。さらに移動時間もかかるので、最初のうちは近場で出店場所を探したほうが交通費を抑えることができ、利益も残りやすいです。

原価率の目安とFLコストの考え方

一般的な飲食店では、原価率30%前後が目安と言われています。500円の商品なら材料費150円程度、という計算です。

あわせて覚えておきたいのがFLコストという考え方です。Food(食材費)とLabor(人件費)を合わせたコストのことで、飲食店では売上の60%以内に収めるのが健全な経営の目安とされています。

キッチンカーの場合、1人で営業すれば人件費を抑えられるぶん、原価率を35〜40%かけて商品力で勝負するという戦略も取れます。原価をかけた分だけ商品の満足度が上がり、高めの値段でも納得してもらえる。これはキッチンカーならではの強みです。

ただし、自分ひとりの営業でも「自分の人件費」はゼロではありません。自分の働きに対する取り分まで含めて利益を考えないと、「売れているのに手元にお金が残らない」状態になります。

利益から逆算するシミュレーション例

数字のイメージをつかむために、一般的な例で計算してみましょう。1食500円・原価率30%(材料費150円)の商品が、1日100食売れたとします。

  • 売上:500円 × 100食 = 50,000円
  • 粗利益:(500円 − 150円)× 100食 = 35,000円
  • 純利益:35,000円 − 出店料10,000円 − 交通費2,000円 = 23,000円

ここで注目してほしいのは、値段を100円上げるだけで、同じ100食でも利益が10,000円増えることです。逆に「売れないから」と100円下げると、利益は10,000円減り、同じ利益を出すには4割以上多く売らなければいけません。販売数を増やすのは大変ですが、値段の見直しは今日からできます。値段設定は、キッチンカーの利益に一番直結するレバーなのです。

値段を決めるときの手順としては、次の4ステップで考えると迷いません。

  • ステップ1:同じ商材のキッチンカーの相場を調べる
  • ステップ2:自分の商品の原価を計算する
  • ステップ3:1日の目標利益と見込み販売数から、必要な粗利を逆算する
  • ステップ4:相場と逆算結果をすり合わせて、キリのいい価格に整える

この計算をイベントごとにやっておくと、「その出店料を払ってでも出るべきか」の判断もできるようになります。

販売商品の原価を必ず把握する

自分の販売する商品の原価計算は必ずやってください。商品が1個売れるといくら儲かるかを、しっかり知っておきましょう。

たまに自分が販売している商品の原価を知らないキッチンカーがいます。原価を知らないと利益計算もできず、自分が儲かっているのか儲かっていないのかがわかりません。

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1円単位まで細かく出す必要はありませんが、原価をしっかり把握していたほうが経営状況がつかめて、営業計画も立てやすくなります。具体的な計算のやり方は、たこ焼きの原価計算の記事で僕の実際の手順を紹介しているので参考にしてください。

キャッシュレス手数料も「見えない原価」

最近はキッチンカーでもキャッシュレス決済が当たり前になってきました。ここで注意したいのが決済手数料です。キャッシュレス決済は一般的に3%前後の手数料がかかるので、500円の商品なら15円ほどが引かれます。

「たった15円」と思うかもしれませんが、原価率で見れば3%の上乗せと同じです。値段を決める段階から、手数料込みで利益が残る設計にしておきましょう。後から「手数料分値上げします」とは言いにくいものです。

キャッシュレス決済を導入すると売上データが自動記録され、原価計算や売上管理がぐっとラクになるメリットもあります。手数料と使いやすさの比較はキャッシュレス決済の比較記事にまとめています。

売れる値付けの心理テクニック

同じ商品でも、値段の「見せ方」で売れ方は変わります。キッチンカーで使いやすい値付けの心理テクニックを3つ紹介します。

端数価格とワンコインの使い分け

スーパーでよく見る「498円」のような端数価格は、実際より安く感じさせる効果があります。ただしキッチンカーの場合、会計のスピードも大事です。現金のお客さんが多い現場では、500円ちょうどのワンコイン価格のほうがお釣りのやりとりが減り、行列の回転が速くなります。

端数をつけるなら「480円」「750円」のように50円単位まで。10円単位の細かい端数は、お釣りの準備も会計も大変になるのでおすすめしません。

松竹梅の3段階価格で「真ん中」を売る

人は3つの選択肢があると真ん中を選びやすいという心理があります。いわゆる「松竹梅」です。

たとえば「並600円/トッピング付き800円/全部のせ1,000円」のように3段階を用意すると、真ん中の800円が一番選ばれやすくなります。一番売りたい商品・一番利益が残る商品を真ん中に置くのがコツです。1種類しかメニューがない場合でも、量やトッピングで3段階を作れます。

トッピング・セットで客単価を上げる

本体の値段を上げなくても、トッピングやドリンクセットで客単価を上げる方法もあります。単品500円のお客さんが「+100円のトッピング」や「+150円のドリンク」を付けてくれれば、値上げをしなくても1人あたりの売上は2〜3割変わってきます。

トッピングは仕込みの手間が少ないわりに利益率が高いものが多く、メニュー表の見せ方ひとつで注文率が変わります。値段そのものだけでなく、メニュー全体の設計で利益をつくる意識を持ちましょう。

💡 値段は「見せ方」も大事

せっかく考えた値段も、お客さんから見えにくければ効果は半減。屋外でも見やすいプライスカードやメニュー用のPOP用品は安く揃えられるので、値段決めとセットで準備しておくのがおすすめです。

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値上げのタイミングと伝え方

材料費や容器代が上がり続けている今、値上げは避けて通れないテーマです。タイミングと伝え方を押さえておけば、値上げでお客さんが離れることはほとんどありません。

価格改定のタイミング

値上げしやすいタイミングは次のような節目です。

  • 原材料の高騰が続いたとき:原価率が想定を超えて崩れたら、先送りせず見直す
  • メニューをリニューアルするとき:内容が変わるので価格変更が自然に受け入れられる
  • 新年度やシーズンの切り替わり:「4月から」「新メニューから」と区切りをつけやすい

一番よくないのは、原価が上がっているのに「言い出しにくいから」とズルズル据え置いて、利益が出ない状態で消耗することです。利益が残らなければ品質を維持できず、結局お客さんのためにもなりません。

値上げの伝え方

値上げするときは、次の3つを意識してください。

  • 事前に告知する:SNSや店頭POPで「○月から価格を改定します」と先に伝える
  • 理由を正直に伝える:「原材料高騰のため」「品質を維持するため」と一言添えるだけで印象が変わる
  • 付加価値もセットで:値上げと同時に少し増量したり、トッピングを追加したり、「上がったけど良くなった」と感じてもらう工夫も有効

味に納得してくれている常連さんは、誠実に伝えれば値上げで離れません。むしろ黙って量を減らす「こっそり実質値上げ」のほうが信頼を失います。

キッチンカーでやってはいけない値段設定のNG行為

意外と知られていませんが、キッチンカーにはやってはいけない暗黙のルールがあります。

  • 大きな声で呼び込みをする行為
  • 半額セールなど価格を下げて販売する行為
  • 隣のキッチンカーへの迷惑行為

半額セール・投げ売りは絶対にNG

たまにお祭りなどで、終了間際に商品が余った業者が呼び込みをしたり半額で売っていることもありますが、キッチンカーでは絶対にやらないでください。値段を下げたり半額で売ったりする行為は、他の一生懸命キッチンカーをやっている仲間に迷惑です。

一生懸命こだわりを持って営業しているキッチンカーの横で呼び込みをしたり半額で売ったりすることは、キッチンカー業界の質を下げる行為ですし、自分のお店の質を下げることにもなります。その場は多少売り上げが上がるかもしれませんが、長い目で見るとかなりマイナスです。

キッチンカー仲間との関係が出店場所につながる

キッチンカー業界は、キッチンカーの仲間が集まって初めてイベントなどで親しまれる存在になります。「自分だけが売れればいい」という考えを持っていると、周りのキッチンカーから嫌われます。

キッチンカー業界は仲間意識の高い業界で、イベントなどで一緒になるキッチンカーは頻繁に一緒に仕事をする仲間です。商材は違っても一緒にイベントを盛り上げていく仲間なので、他のキッチンカーに迷惑をかけないように、プライドを持って営業しましょう。

キッチンカー仲間ができると、仕事の紹介をいただけることが多いです。良いイベントは出店募集を行わず、キッチンカー仲間からの紹介でしか出店できないことも多くあります。

逆に、自分中心の考えで営業していると周りから一切声がかからなくなります。キッチンカー業界は狭いのですぐに話が伝わり、出店場所を探すのが難しくなります。イベントで売り上げを上げることも大事ですが、他のキッチンカーと一緒に仕事をしていることを忘れずに営業してください。

まとめ|高めの値段設定と原価把握が長く続けるコツ

キッチンカーの値段設定のポイントをまとめます。

  • 値段設定に迷ったら高めに設定する(下げるのは簡単、上げるのは難しい)
  • 悩んだら同じ商材のキッチンカーの相場に合わせるのが無難。続けるうちに適正価格がわかってくる
  • 原価率と利益の計算式で「利益が残る価格」かを必ず確認する
  • キャッシュレス手数料や出店料・交通費も含めて価格を設計する
  • 半額セール・安売りは自分のお店と業界の質を下げるので絶対にやらない

安い値段設定で始めると、最初は多少売り上げが上がるかもしれませんが、利益が残らず続けていくことが困難になり、失敗する原因になります。金額を高めに設定して質の高い商品を提供することで自分のお店のブランディングができ、どこのイベントに行っても行列ができるキッチンカーになれます。

商品の値段設定ができたら、次のステップは店舗外観・看板・ポップ作りです。せっかく決めた値段も、お客さんに伝わる「見せ方」があってこそ活きてきます。

【キッチンカーの始め方⑤】店舗外観|看板|タペストリー|ポップの重要性

シリーズの全体像や他のステップは、キッチンカー開業ノウハウまとめからご覧ください。

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