まいどー!現役キッチンカーオーナーのぴえろです。たこ焼き屋歴12年、キッチンカー歴は8年になります。
「同じ商品を同じように売っているのに、日によって売上が全然違う」——キッチンカーを始めた人が最初にぶつかる謎だと思います。腕が落ちたわけでも、味が変わったわけでもないのに、です。
先に結論を言います。キッチンカーの売上は、腕やメニューより「場所」で決まります。僕の経験では、同じ商品・同じ僕でも、ベストな出店とワーストな出店で売上は 5〜10倍 違います。つまり「どこに出るか」を選んだ時点で、その日の売上はほぼ決まっているんです。
この記事では、8年・延べ1,200日以上の出店経験から、出店場所のタイプ別に「どれくらい売れるのか・何がリスクか」を売上目線で比較して、ハズレ出店を事前に見抜くチェック方法までまとめます。
売上は「腕」より「場所」で決まる
味や接客はもちろん大事です。でもそれは「リピーターを作る力」であって、「その日その場所にお客さんを連れてくる力」ではありません。通りかかる人が10人しかいない場所では、日本一のたこ焼きを焼いても10人にしか売れないんです。
僕は岐阜県を拠点に、東海3県で1.5トントラックのたこ焼きキッチンカーをやっていますが、8年やって身にしみた法則がこれです。
このうち自分の「腕」で当日どうにかできるのは、ほんの一部。だから場所選びは「営業努力」ではなく「経営判断」です。
逆に言えば、場所選びさえ間違えなければ、開業したてでもちゃんと売れます。実際、僕の周りでも「腕はあるのに場所選びで消耗して辞めていった人」を何人も見てきました。もったいないです。
出店場所タイプ別|売上と特徴のリアル比較
僕が8年で経験してきた出店先を、大きく4タイプに分けて比較します。
| タイプ | 売上の期待値 | 安定度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 大型イベント・祭り | ◎(最大) | △ | ハレの日消費。当たれば最高、外れも大きい |
| スーパー・商業施設前の定期出店 | ○ | ◎ | 地味だが安定。リピーターが育つ |
| オフィス街・平日ランチ | ○ | ○ | 回転勝負。提供スピードが命 |
| 依頼出店(企業・学校・地域行事) | ○ | ◎ | 売上が読める。営業・実績が必要 |
大型イベント・祭り|売上の天井が一番高い
僕の経験で一番売れるのは、間違いなく大型イベントや祭りです。主催者が集客をやってくれて、お客さんは最初から「屋台で何か食べるぞ」というハレの日モードで来ています。普段なら1個ずつ悩む人が、家族分をまとめ買いしてくれる。売上の天井が他のタイプとはケタ違いです。
ただし弱点もはっきりしています。
- 出店料が高い(売上歩合や固定で数万円ということも)
- 天候に弱い(雨が降れば来場者ごと消える)
- 「集客力のないイベント」という地雷がある(後述します)
つまり大型イベントは「期待値は最大、ブレも最大」のギャンブル寄りの出店です。だからこそ、後半で書く事前チェックが効いてきます。
スーパー・商業施設前の定期出店|地味だけど経営を支える
毎週決まった曜日に同じ場所へ出るタイプ。1日の売上はイベントに遠く及びませんが、「今日はいくら売れるか」がほぼ読めるのが最大の強みです。
そして定期出店には、イベントにない財産があります。リピーターです。「毎週金曜はここに居る」と覚えてもらえると、雨の日でもわざわざ買いに来てくれるお客さんが付きます。イベントの売上が「その日限りの花火」だとすると、定期出店の売上は「積み立て」。8年続けてこられたのは、正直この積み立てのおかげです。
オフィス街・平日ランチ|回転スピードが全て
平日の昼、オフィス街や工業団地に出るタイプ。お客さんの目的は「昼メシ」で、持ち時間は昼休みの60分だけ。だから提供スピードが売上に直結します。行列が長いと見ただけで諦められます。
たこ焼きは焼き上がりに時間がかかる商材なので、僕は「焼き置きのタイミング管理」で回します。このあたりのオペレーションは出店当日のオペレーション(回転率で売上が決まる)に詳しく書きました。
依頼出店(企業イベント・学校・地域行事)|売上が読めて経費も軽い
「呼ばれて行く」タイプの出店です。主催者から最低保証が出たり、食数が事前に決まっていたりするので、売上がほぼ確定した状態で出店できるのが魅力。出店料がかからないケースも多いです。
その代わり、待っていても依頼は来ません。実績と、主催者への営業が必要です。僕が使っている連絡テンプレは出店依頼・営業テンプレ(イベント主催者に選ばれる連絡方法)にまとめてあります。
実際にあった「当たり」と「ハズレ」
タイプ別の理屈だけだとキレイゴトになるので、僕の実体験を3つだけ。
ハズレ:主催者の「集客見込み」をうのみにした新規イベント
忘れられないのが、ある公園で初開催された、夏の水遊び系の子ども向けイベントです。主催者の見込みは約1,000人。それを信じて仕込んで行ったら、実際に来たのは100〜200人ほどでした。
さらに誤算だったのが真夏の暑さです。暑すぎて、みんなイベントのプログラムが終わるとすぐ帰ってしまう。会場に残ってゆっくり買い食いする流れが、最後まで生まれませんでした。結局その日の売上は約1万円。仕込んだ食材の多くを持ち帰り、出店料と経費を引くと手元にはほとんど残りませんでした。
学んだのは2つ。「初開催」と「来場者数の根拠を聞いても答えられない主催者」は要警戒ということ。悪気がなくても、集客のプロじゃない主催者の見込みはただの願望のことがあります。そしてもう1つ、真夏の屋外イベントは「人が来るか」だけでなく「人が会場に留まるか」まで見ること。暑さで滞在時間が消えると、来場者数のわりに売れません。
当たり:会社の周年イベントで、予想の5倍売れた日
逆の意味で予想を裏切られたのが、ある会社の周年イベントに呼ばれたときです。正直「社内向けのイベントだし、そこそこかな」と思って仕込んで行ったら、予想の5倍売れました。
理由はあとで分かりました。その会社が、社内への案内はもちろん、近隣へのチラシ配りまでやってイベントを周知してくれていたんです。同じ「会社の周年イベント」でも、主催がどれだけ告知に力を入れるかで集客はまるで違う。ハズレ話と合わせて言えるのは、集客力は場所そのものではなく、主催者の本気度に宿るということです。
回避:出店前のひと手間で地雷を踏まずに済んだ話
今は新規の出店先には、必ず事前に質問をぶつけるか、可能なら現地を下見します。過去には、質問への回答が曖昧だったので見送った案件が、あとで聞いたら「出店者みんな暇だった」ということもありました。断る勇気も売上のうちです。ハズレ出店を1回避けるだけで、仕込み・燃料・1日分の体力がまるごと守れます。
ハズレ出店を見抜く5つの事前チェック
僕が新規の出店先を判断するときに見ているのは、この5つです。
- 通行量・来場者数の「根拠」 — 「何人来ますか?」ではなく「去年は何人来ましたか?」と聞く。初開催や依頼出店なら「どんな告知をしますか?」まで聞く(社内案内だけか、チラシ・SNSまでやるかで集客は別物)
- 客層 — 家族連れ・若者・年配、自分の商材とお客さんが合うか(たこ焼きは家族連れに強い)
- 競合 — 出店者リストに同ジャンルが何台いるか。food系の総数と来場者のバランス
- 天候リスクと逃げ道 — 雨天決行か中止か、キャンセル料はいつから発生するか(雨・風・寒さ対策も参照)
- 出店料と最低ライン — 「出店料+経費を回収するには何食売る必要があるか」を先に計算。その数字が現実的でなければ見送る
💡 出店先そのものを増やしたい方へ
そもそも候補が少ないと選びようがありません。僕が実際に使っている出店先の探し方は、こちらにまとめています。
場所ごとの売上を「記録」すると、もっと強くなる
最後にもうひとつ。場所で売上が 5〜10倍 変わるということは、「どこでいくら売れたか」の記録が、そのまま来年の経営判断の材料になるということです。
僕も長らく記憶頼みでしたが、出店ごとに「場所・天気・売上・ひとことメモ」を残すようにしてから、出店のOK/NGの判断が早くなりました。ノートでもスマホのメモでも十分です。1年分たまると「自分だけの当たり場所リスト」ができあがります。
売上の数字の話はキッチンカーの年収はいくら?現役オーナーが実際の収入を公開でも書いているので、あわせてどうぞ。
まとめ:場所選びは「経営判断」
- 売上は腕より場所。同じ商品でも 5〜10倍 の開きが出る
- 天井が高いのは大型イベント、経営を支えるのは定期出店。組み合わせるのが正解
- 集客力は場所そのものではなく、主催者の本気度に宿る(告知の量まで確認する)
- 新規の出店先は5つの事前チェック(来場者の根拠・客層・競合・天候・出店料)で見極める
- 「せっかくだから」で出ない。ハズレ出店はゼロではなくマイナス
- 出店ごとの記録が、自分だけの当たり場所リストになる
これからキッチンカーを始める方は、開業準備の全体像をキッチンカー(移動販売)を始める前の準備にまとめているので、そちらもどうぞ。それでは、良い出店を!
