キッチンカー運営

キッチンカーはこのイベントに出るべき?5分で決める出店判断の計算式と判定表

「出店料1万円なら、まあ出てもいいか」
「人は多そうだけど、遠いんだよな…」
「出てみたら、ガソリン代と仕込みで手元にほとんど残らなかった」

まいどー!現役キッチンカーオーナーのぴえろです🤡

僕は岐阜県を拠点に、極たこ焼のキッチンカーで東海3県を回って8年。これまでに延べ1,000日以上出店してきました。その中で一番多かった失敗は、「出店料が安いから」「誘われたから」という1つの理由だけで出店を決めたことです。

この記事では、イベントに出るか出ないかを5分で決める計算式を、5つのステップと判定表にして書きます。出店料の相場や主催者との交渉は出店場所の探し方と交渉術に、利益率の考え方はキッチンカーの利益率にまとめてあるので、ここでは「出る前の判断」だけに絞ります。

出店判断は「出店料」ではなく「1日の時給」で決める

先に結論です。僕がイベントに出るかどうかを決める最後の基準は、出店料の安さでも売上の大きさでもなく、次の数字です。

その日の時給 =(見込み売上 − その日にかかる全費用)÷(移動+仕込み+営業+撤収の合計時間)
この時給が、自分で決めた「最低ライン」を下回る出店は、どんなに誘われても断る。

売上が20万円でも、片道2時間・出店料3万円・人を1人雇う条件なら、時給にすると平日の商業施設より低いことがあります。逆に売上7万円でも、近くて出店料が安く、1人で回せる日は時給が高い。「売上の大きさ」と「手元に残る効率」は別物です。

この時給を出すために、次の5ステップを順番にやります。慣れれば本当に5分です。

ステップ1:その日にかかる「固定の負担」を全部書き出す

赤字になる人のほとんどは、出店料しか見ていません。出店が決まった瞬間に発生する費用を、全部並べます。

項目見落としやすさ僕の目安(説明用の仮定)
固定出店料低い0〜3万円
燃料代(往復)中1.5トントラックで片道50kmなら2,000〜3,000円
高速代・駐車場代高い往復で0〜4,000円
当日の人件費中1人つけるなら日当1万円前後
プロパンガス・電源の燃料高い1営業で1,000〜2,000円
仕込みの自分の時間とても高い3時間×時給1,500円換算=4,500円
廃棄の見込み高い売れ残り分の原価。初出店なら売上の5%程度を見ておく

「仕込みの自分の時間」は、お金が出ていかないので入れない人が多いですが、ここを入れないと自分の労働をタダにした計算になります。時給いくらで換算するかは自分で決めて構いません。僕は近所のバイトの時給より少し高めに置いています。

説明用に、ここでは「固定出店料2万円+燃料5,000円+仕込み4,500円=29,500円」を例にして進めます。

ステップ2:必要売上を出す(原価率と歩合を差し引く)

固定の負担が分かったら、「売上がいくらあればこの負担を回収できるか」を出します。式は交渉術の記事で使っているものと同じです。

必要売上 = 固定の負担 ÷(1 − 原価率 − 売上歩合率)
  • 原価率:食材と容器など、売上に比例してかかる割合。たこ焼きなら30%前後が僕の目安
  • 売上歩合率:出店料が「売上の10%」のような歩合なら、その割合。固定料だけなら0

例の条件(固定の負担29,500円・原価率30%・歩合なし)なら、29,500円 ÷ 0.7 = 約42,000円。「固定2万円+売上の10%」の併用なら、29,500円 ÷ 0.6 = 約49,000円です。

ただし、これは「トントンになる売上」であって、利益が出る売上ではありません。「この日に最低3万円は残したい」なら、固定の負担に3万円を足してから割ります(例なら 59,500円 ÷ 0.7 = 約85,000円)。

ステップ3:必要食数と「焼ける上限」を比べる

必要売上が出たら、客単価で割って「何食売れれば届くか」に直します。客単価700円なら、42,000円は60食、85,000円は約122食です。

ここで必ず見るのが、自分の設備で物理的に出せる上限です。僕のたこ焼きは1枚18穴の鉄板を2台並べて、営業時間は基本6時間。焼き上がりの時間と盛り付けを考えると、1人で回す日に出せる数には限界があります。

比べるもの見方
必要食数 < 焼ける上限の半分余裕あり。天候が普通なら出る
必要食数 = 焼ける上限の半分〜8割条件次第。人を1人足すなら、その人件費をステップ1に戻して計算し直す
必要食数 > 焼ける上限の8割出ない。来場者が多くても、自分が出せない売上は存在しない

「来場者1万人」と聞くと売れる気がしますが、売上の上限を決めるのは来場者数ではなく自分の提供速度です。大きなイベントほど、この比較を飛ばして出店料だけ上がっていきます。

ステップ4:天候と「中止ルール」で見込みを割り引く

屋外イベントは、晴れた日の売上で考えてはいけません。僕は見込み売上に、会場のタイプごとに掛け算をしています。

会場のタイプ見込み売上に掛ける目安理由
屋内・屋根つき×1.0天候の影響がほぼない
屋外・週間予報が晴れ×0.9急な天候変化と風の分
屋外・予報が曇りや雨マーク×0.5〜0.6来場者が半分になり、中止の可能性もある
屋外・雨天中止で返金なし×0.5 + 固定の負担に仕込み分の廃棄を追加中止でも仕込みと出店料が消える

要項に「雨天時の扱い」と「返金の条件」が書いていないイベントは、確認するまで判断を保留します。中止時に仕込みを丸ごと抱えるのは、1回で数万円が飛ぶ一番痛い損失です。雨の日の現場対策は雨・風・寒さ対策に別で書いています。

ステップ5:時給に直して、最低ラインと比べる

ここまでの数字を、最初の式に入れます。

その日の時給 =(割り引いた見込み売上 − 原価 − 歩合 − 固定の負担)÷ 拘束時間の合計
拘束時間 = 仕込み + 往復の移動 + 設営 + 営業 + 撤収 + 片付け

説明用の例で計算してみます。屋外・晴れ予報の公園イベント、見込み売上10万円(×0.9で9万円)、原価率30%、固定の負担29,500円、拘束時間は仕込み3時間+移動往復2時間+設営撤収2時間+営業6時間=13時間。

(90,000 − 27,000 − 29,500)÷ 13時間 = 時給 約2,580円

同じ日に、近所の商業施設で見込み売上5万円・固定出店料なし・歩合10%・移動往復30分・拘束9.5時間なら、(50,000 − 15,000 − 5,000 − 燃料1,000 − 仕込み4,500)÷ 9.5時間 = 時給 約2,580円。売上が半分でも時給はほぼ同じです。これが「売上の大きさで決めない」理由です。

最低ラインは人によって違います。僕は「これを下回るなら出ずに仕込みや営業の準備に時間を使ったほうがいい」と思える金額を1つ決めていて、そこを基準にしています。

出店判定表:5分で○△×を付ける

5ステップをまとめると、次の表になります。新しい募集を見たら、この順に埋めてください。

チェック○△×
固定の負担の合計見込み売上の20%以下20〜35%35%超
必要食数 ÷ 焼ける上限半分以下半分〜8割8割超
天候リスク屋内か晴れ予報屋外で予報が不安定雨天中止・返金なし・要項に記載なし
時給(最低ライン比)1.3倍以上1.0〜1.3倍1.0倍未満
同ジャンルの被りなし1店2店以上(超大型イベントを除く)
  • ×が1つでもあれば出ない。「他は全部○なのに」と思っても、×は1つで赤字を作ります
  • △が2つ以上なら、主催者に条件を確認してから決める(出店料の相談、区画の位置、雨天時の扱い)
  • ○が4つ以上なら即応募。良いイベントは募集がすぐ閉まるので、迷う時間のほうが損です
ここで出る数字は全部「見込み」です。実際の売上は出店するたびに記録して、次の見込みの精度を上げていきます。見込みと実績の差が縮まってきたら、判断が当たるようになった証拠です。

僕はこの計算をアプリにしました

正直に言うと、この計算を毎回手でやるのは面倒です。僕は以前はNumbersの表で管理していましたが、商品ごとの単価と原価、イベントごとの販売数と廃棄、出店料や移動費を入れると売上・粗利・原価率が自動で出る自分用の計算アプリを、AIに手伝ってもらって作りました。プログラムは書けないので、「こういう表が欲しい」と日本語で伝えて組み立てています。

イベントごとに結果が並ぶので、「あのイベントは売上は大きかったけど残らなかった」が一目で分かるようになりました。判断の精度が上がったというより、感覚で決めていたことに数字がついた、という変化が一番大きいです。

💡 【アンケート】出店判断の計算ツール、使ってみたいですか?

「出店料・移動距離・仕込み時間・商品の原価を入れると、必要売上と時給が出て、○△×の判定まで出る」。こんなツールを、他のキッチンカーの方にも使える形にするか考えています。スマホで使える無料の簡単版から始めるつもりです。

「使ってみたい」「この項目も入れてほしい」「自分はExcelで十分」など、ひと言でいいので教えてもらえると助かります。

→ XのDMで「出店判断」と送る ▶
→ お問い合わせフォームから送る ▶

よくある質問(FAQ)

Q. 初出店で見込み売上の数字が分からない

主催者に「前回の来場者数」と「前回出店したキッチンカーの平均的な売上感」を聞いてください。答えが出てこないイベントは、見込み売上を低めに置きます。目安として、来場者数の2〜5%が自分の店で買うと考えると、大きく外しにくいです。

Q. 出店料が無料のイベントは出たほうがいい?

出店料が0円でも、燃料・仕込み・自分の時間はかかります。ステップ5の時給で見てください。無料だからと集まりすぎて同ジャンルが3店並ぶ、というのも無料イベントでよくあるパターンです。

Q. 赤字でも「宣伝のため」に出る価値はある?

あります。ただし「宣伝費としていくらまで」を先に決めてから出てください。赤字の上限を決めずに出ると、何回でも「宣伝のため」と言い訳できてしまいます。

まとめ:出るか出ないかは、売上ではなく時給で決める

  • ステップ1:出店料だけでなく、燃料・高速・人件費・ガス・自分の仕込み時間・廃棄まで固定の負担を全部出す
  • ステップ2:必要売上 = 固定の負担 ÷(1 − 原価率 − 歩合率)
  • ステップ3:必要食数が、自分の設備で焼ける上限の8割を超えるなら出ない
  • ステップ4:屋外は天候で見込みを割り引く。雨天中止・返金なしは要注意
  • ステップ5:時給に直して、自分の最低ラインと比べる
  • 判定表で×が1つでもあれば出ない。○が4つ以上なら迷わず応募

「計算ツールを使ってみたい」という方は、上のアンケート枠からひと言ください。人数次第で、試してもらえる形を作ります。

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